伊丹市職員労働組合のブログ

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本村真「子どもの貧困問題を考える」(『月刊 自治研2022.9』⑫)

静岡自治研の第9分科会「SDGs×生活×自治研」の午後の部は「子どもの貧困問題を考える」です。このテーマで重要なことは「貧困」が意味する内容です。

本村真さんは、「低所得」と「貧困」を区別する必要性を指摘しています。「低所得」は「保護者にそれ以外の課題がなく所得の低さが世帯の主たる課題となる状況」であり、「貧困」は「所得の低さに加えて何らかの保護者の疾患や家庭内暴力、地域における孤立などの要因が加わり、保護者が子どもの育ちに必要な関わりを行う余裕を失っている状態」と定義されています(38)。

そして、このような区別のもと、「「低所得」→「貧困」への移行予防を含めた所得補償・無料サービスの提供を中心とした行政サービス(「低所得」対策)」と、「既に「貧困」状態となっている世帯に対する「アウトリーチ」を含めた寄り添い型の支援を柱とした行政サービス(「貧困」対策)」という二段構えの対策が必要になることを本村さんは指摘しています(38)。

そして、本村さんは自己責任論をも視野に入れて次のように問いかけます。

義務教育の提供を含めて日本は『平等』な社会であり、努力不足の結果を個人に帰すことは当然であるという意識と、SDGsで強調される『誰一人残さない』という理想は相容れるのだろうか?(38)

この問いに答えることができるよう、貧困問題について考えていきたいと思います。