伊丹市職員労働組合のブログ

伊丹市職員労働組合の活動の記録

武田俊輔「コロナ禍における都市祭礼のレジリエンス-長浜曳山祭の再開を事例として」

『月刊 自治研 2022年8月号』の特集は、「コロナ禍の祭りとコミュニティ」です。コロナ禍の影響で、祭りやイベントの中止・延期を余儀なくされてきた地域・自治体にとって、非常に参考になる特集です。今回の記事では、特集の中でも特に興味深かった、法政大学社会学部教授の武田俊輔さんの「コロナ禍における都市祭礼のレジリエンス-長浜曳山祭の再開を事例として」を紹介します。

https://www.jichiro.gr.jp/jichiken/month/index.html

本論考では、サブタイトルにもあるように、長浜曳山祭が事例として取り上げられています。長浜曳山祭は2021年の段階で、祭礼の「縮小開催」を行っています。

この祭礼において重要なことは、継承するためにこそ変容が必要であるという視点です。単に「その時々の開催の可否」という観点からではなく、「長期的な時間軸」から祭礼を捉えて「変容させつつ継承していく」、そのようにして祭礼は継承されてきたのです。

そして、たとえ祭礼が中止になるようなことがあっても、その「準備のプロセスを記憶・記録することによって将来の継承可能性を高める」(27)という、未来を見据えた視点を持ち、取組んでいくことが大切になります。

祭りには地域社会の組織や集団など、さまざまなアクターが関わっており、それらの間に結ばれたソーシャルキャピタル(結束型ソーシャルキャピタル・橋渡し型ソーシャルキャピタル・連結型ソーシャルキャピタル)が、祭礼の実施を可能にしたとも武田さんは指摘しています。例えば、行政は感染対策に注意した形での実施に前向きで、そのバックアップにより、祭礼実施の正当性が地域社会に示されました。

私たちはこの論考から、ソーシャルキャピタルをつくりあげていく関係性や記憶と記録の継承、そして未来を見据えた長期的視点の重要性を学び、日々の活動に活かしていく必要があります。